鉄道車両の複雑な部品情報をグローバルで統合し、
設計〜生産プロセスの「見える化」を実現!
お客様情報
鉄道車両のトップメーカーであり、新幹線をはじめ様々な車両の生産技術を常に牽引してきた、川崎重工業の車両カンパニー。北米にも2工場を持ち、ニューヨーク地下鉄をはじめ、海外向けの車両受注が多いのも大きな特長です。世界的レベルで鉄道へのニーズが高まる中、更なる生産性の効率化を実現するため、部品表の改革に着手。統合化部品表「ECObjects(Total BOM)」を導入し、国内外の情報を一元管理した統合部品表システムを構築しました。
- 会社名
- 川崎重工業株式会社
- 所在地
- 【東京本社】東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービル
【神戸本社】神戸市中央区東川崎町1-1-3 神戸クリスタルタワー
【車両カンパニー兵庫工場】兵庫県神戸市兵庫区和田山通2-1-18
- 創業
- 1878年(明治11年)
- 従業員数
- 連結 32,760人(2011年3月31日現在)
- 事業内容
- 船舶・鉄道車両・航空機・二輪車など輸送機器を中心とする重工業メーカー

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導入の背景
車両カンパニー兵庫工場は、鉄道車両の専門工場として、様々な車両を製造し、世界に向けて送り出してきました。製品の納入先は、国内ではJR各社をはじめ、主な私鉄、公営地下鉄。海外では、アメリカ、イギリス、中国、東南アジア、アフリカ、中南米諸国まで広がっています。重要な開発拠点でもある兵庫工場に加え、北米にはネブラスカ州リンカーン市、ニューヨーク州ヨンカース市の2ヵ所に生産拠点があります。
2005年、設計から調達までをカバーする新生産システム構築の本格的な検討が始まりました。現行のシステムは国鉄中心の国内市場が主流であった時代のシステムであり図面中心のオペレーションです。しかしJR化後の車両の多様化や海外への展開という最近のビジネス環境に対応するために、部品表を導入して部品レベルの管理をレベルアップすると共に、設計の共通化やトータル業務のスピードアップを目指すこととしました。
導入のポイント
新システムの検討にあたり、企画本部企画部車両情報システム課の小川課長は、「設計変更での紙をベースとした煩雑なやり取りを見ていて、システムでなんとか解決しなければと考えました。また、これを機に業務をシンプルにしていきたい。個々の能力に頼った設計業務の標準化というのも大きな課題でした。そのためにも、設計・製造部品表をひとつにできないか」という観点で、当初はスクラッチでの統合部品表の開発を検討されてきました。製品(車種)・編成(客先への発送単位、営業運転を行う単位)・号機(車体個別1両ごとに振られる番号)といった車両独特の複雑な概念を部品表で管理するにあたって、「パッケージで開発するということは当初あまり考えてなかったが、スクラッチでの開発は、社内的にも労力を要し、限られた人数のシステム要員の中でやっていけるのか不安はあった」と小川氏。いくつかのパッケージの検討も進めていくなかで、統合化部品表を製品として提供しているECObjectsに注目し、検証がはじまりました。
導入に際して
現状の図面(紙)によるオペレーションから、図面と部品表の両輪によるオペレーションに変更していくことで、「設計者が部品表登録という追加の業務が発生することは、大きな懸案でした。」と有本氏。その懸念を払拭するため、検証段階では、プロトタイプをエンドユーザーに繰り返し見せていくことで、操作性・利便性のチェック・改善をしていきました。「設計部門のキーマンの数名での検証を経て、次はニューヨークの地下鉄の新車両を担当する一部門へと段階的に導入していきました。ここで一気にユーザー数が80名を超え、データ量も増えたことでサポートに追われましたが、随時手順を整備し、システムも改善していることで、最終的には国内約300名の設計者への全面導入に向けて、いいステップが踏めていると思います。」と有本氏。

企画本部企画部 車両情報システム課 有本隆彦氏(右)
<統合部品表のポイント>
- 設計部門からの見える化
設計部門が品番を採番し、データを登録する起点となり、設計・手配・現図でのプロセスを共有できる - 製品・編成・号機情報の管理
車両特有の概念を構造的に管理 - 一物一品番管理
特定の車両形式専用の品番ではなく、全製番で共通の品番体系にすることで、国内外統一の管理が可能となる - 先行手配
部品設計が始まらない段階での素材の手配、長納期品の先行手配を実施 - 五月雨リリースへの対応
五月雨式の出図(リリース)による部品表情報の順次確定 - 図面管理
多品一葉図/一品一葉図をサポートするため、品番と図番を個々に管理し、それぞれを紐付け管理 - 設計変更管理
設計変更が多く、製造着手後も変更が頻繁に発生するため、設計・製造部品表を統合管理する
導入効果と今後について
調達管理も含めた新生産システムを導入したことで、今まで複数のシステムが受け持っていた部品/材料の手配/調達を一元管理することができるようになり、部品の進捗状況(部品表→手配→調達/製作/下揃え→物流/配膳)の「見える化」を実現しました。
鉄道車両は、車両1両に数万点にも及ぶ部品が搭載されており、その全ての部品を統合部品表に登録することで、次サイクル以降の車両設計には、登録された部品表を使うことができ、設計から生産までのトータルのスピードアップが見込めるようになりました。
また、横軸を製品(車種)としたマトリックス表示にすることで、構成の流用も簡便化され、仕様のズレが容易にわかるようになってきました。同時に、取付品/組立品/部品等の情報を、取付品目をトップとしたツリー構造で展開することで、設計者がリリース情報を見ることができ、設計のフロント・ローリング、及びコンカレント設計を実現する基盤を作ることができています。
「今後は、海外へのビジネス展開をより推進するため、兵庫工場と海外拠点の連携をさらに密接化させ、競争力を強化していきたい」と小川氏は話しています。

まとめ
導入前の課題
- 海外工場との早急な連携
- 図面(紙)を中心としたオペレーション
- 設計変更処理の煩雑さ
- 部品の共通化の促進
- 既存システム改修の限界
導入のポイント
- 設計、製造部品表の統合
- 車両業界の特徴に応じた部品表構築
- 利用者の利便性を考慮したシステム
- カスタマイズ性の高いパッケージを使った、段階的導入
- 部品表構築に精通したSEを持つベンダーの存在
導入後の効果
- 国内外での部品情報の一元管理による、部品進捗情報の見える化
- トータルの時間短縮/スピードアップ
- データ、業務処理の電子化
・本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
・事例は特定のお客様での事例であり、全てのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
・記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。
